にしきのこい

瞳の中にレインボウ

知らない犬を散歩させている人

「可愛いワンちゃんですね〜〜〜!お名前なんていうんですか〜〜〜?」

「ね〜〜〜!」

「どういうことですか〜〜〜?お名前なんていうんですか〜〜〜?」

「いや〜〜〜名前知らないんですよ〜〜〜」

「なんで名前知らない犬を散歩させてるんですか〜〜〜?」

「いや〜〜〜なんとなく〜〜〜」

「なんとなくで散歩させてるんですか〜〜〜?」

「そうなんですよ〜〜〜まあそれはおいといて〜〜〜一緒にコンビニ行きませんか〜〜〜?」

「犬連れてコンビニって行けないですよね〜〜〜?」

「行けますよ〜〜〜肉まんとあんまん買ってあげるので〜〜〜」

「いや肉まんもあんまんもいらないんですけど〜〜〜てかそもそもなんでコンビニ行くんですか〜〜〜?」

「いや〜〜なんとなく〜〜〜」

「そればっかですね〜〜〜」

「コンビニ行かないならラーメン食べに行きませんか〜〜〜?おごりますよ〜〜〜」

「いいんですか〜〜〜?ラーメンなら食べたいです〜〜〜」

「じゃあ行きましょうか〜〜〜」

「ありがとうございます〜〜〜」

こうして俺は犬の散歩をしつつ、見知らぬ女性と一緒にラーメンを食べることになった。これはうまい具合にデートに持ち込むことができたのではないだろうか? 知らない犬を散歩させているだけで女性と出会えるなんて、ラッキー以外の何ものでもない。

「おごってもらった上にコンビニにまで寄ってもらってありがとうございました〜〜〜」

「いえいえ〜〜〜」

ラーメンを食べ終わってからコンビニに寄ったあと、軽い挨拶をかわして俺たちは解散することにした。

「それじゃあ失礼します〜〜〜」

そう言いながら俺に背を向けて歩き出した彼女は、両手に持った肉まんとあんまんを交互に食べながら去っていった。

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