にしきのこい

瞳の中にレインボウ

知らない犬を散歩させている人

「可愛いワンちゃんですね〜〜〜!お名前なんていうんですか〜〜〜?」

「ね〜〜〜!」

「どういうことですか〜〜〜?お名前なんていうんですか〜〜〜?」

「いや〜〜〜名前知らないんですよ〜〜〜」

「なんで名前知らない犬を散歩させてるんですか〜〜〜?」

「いや〜〜〜なんとなく〜〜〜」

「なんとなくで散歩させてるんですか〜〜〜?」

「そうなんですよ〜〜〜まあそれはおいといて〜〜〜一緒にコンビニ行きませんか〜〜〜?」

「犬連れてコンビニって行けないですよね〜〜〜?」

「行けますよ〜〜〜肉まんとあんまん買ってあげるので〜〜〜」

「いや肉まんもあんまんもいらないんですけど〜〜〜てかそもそもなんでコンビニ行くんですか〜〜〜?」

「いや〜〜なんとなく〜〜〜」

「そればっかですね〜〜〜」

「コンビニ行かないならラーメン食べに行きませんか〜〜〜?おごりますよ〜〜〜」

「いいんですか〜〜〜?ラーメンなら食べたいです〜〜〜」

「じゃあ行きましょうか〜〜〜」

「ありがとうございます〜〜〜」

こうして俺は犬の散歩をしつつ、見知らぬ女性と一緒にラーメンを食べることになった。これはうまい具合にデートに持ち込むことができたのではないだろうか? 知らない犬を散歩させているだけで女性と出会えるなんて、ラッキー以外の何ものでもない。

「おごってもらった上にコンビニにまで寄ってもらってありがとうございました〜〜〜」

「いえいえ〜〜〜」

ラーメンを食べ終わってからコンビニに寄ったあと、軽い挨拶をかわして俺たちは解散することにした。

「それじゃあ失礼します〜〜〜」

そう言いながら俺に背を向けて歩き出した彼女は、両手に持った肉まんとあんまんを交互に食べながら去っていった。

恋をしているカツオ

中島「磯野、野球しようぜ」

カツオ「中島、野球はもう…やめにしよう」

中島「やめる?やめるってどういうことだ?」

カツオ「野球なんかより…もっと…こう…違うことをしよう」

中島「違うこと?なんだよ?どうしたんだ?磯野」

カツオ「中島…………いや、博(ひろし)…///」

【嬉ションが原因となって起こった戦】 嬉ションの変

発端となったのは、一匹の老いた柴犬だった。

いつものように散歩に連れ出されていた時のこと。偶然通りかかった野良猫が発した「ミャア」という鳴き声を聞いた瞬間、何となく心惹かれた彼は、思わずその場で立ち止まった。

「ああっ! 大変だ!」

飼い主の声に我に返った時にはもう遅かった。彼の股間からは大量の尿がほとばしり出て、地面を濡らしてしまっていたのだ。そして、その光景を見た通行人がスマートフォンで撮影した動画は瞬く間に拡散され、インターネット上には

「この犬、嬉ションしてるwww」
「俺もやったことあるわー」
「これは笑えるww」
「これって、どうやって止めさせるんですか?」

などという言葉とともに、多くの動画や画像がアップされたのであった。この出来事がきっかけで、ネット上には『嬉ション』という言葉が氾濫することとなった。

そして、いつしかこの言葉は犬だけではなく、人間にも適用されるようになっていった。例えば、

「うおおお! 俺、今から嬉ションするぞ!!」

と宣言した男が、本当に嬉ションをしたとか、あるいは、

「私、今日は嬉ションしちゃいそう……」

と言って実際に嬉ションをしてしまった女性がいたとかいう話もある。

いずれにせよ、人々は嬉ションに対して一種の憧れを抱くようになりつつあった。そんな中、一人の青年が嬉ションについて語る動画を配信したところ、それが大きな反響を呼ぶこととなった。その内容は以下のようなものだった。

「嬉ションか?欲しけりゃくれてやる。探せ!排泄の全てをそこに置いてきた」

世はまさに、大嬉ション時代。

【セパタクローがしたい】 ねえ、こんなつまらないパーティー、あと4,5人誘って抜け出さない?

「ねえ、こんなつまらないパーティー、あと4,5人誘って抜け出さない?」

唐突に女が声をかけてきた。

「4,5人誘って?」

「そう、4,5人誘って。そして、セパタクローをしましょう」

セパタクローを?やるの? 今から?」

「そうよ、今からよ。やるでしょう?」

「うーん………まあ、いいだろう」

「じゃあ決まりね」

「おい、ちょっと待て!」

突然、横にいた男が話に割り込んできた。

「何なのよ、あなた」

「俺はこのパーティーの主催者だ。おまえたち勝手なことばかり言うんじゃねえぞ! さっきから聞いていれば、人を侮辱するようなことばっかり言いやがって!セパタクローなんてわざわざパーティーを抜け出してまでやるような競技かよ!」

男は僕たちを睨みつけながら怒鳴った。

僕はその男を見つめた。年齢は50代半ばくらいだろうか。身長はそれほど高くないが、体格はかなり良く筋肉質である。髪は短く刈り上げており、眉毛も剃り上げられている。まるでスポーツマンのような外見の男だ。しかし、顔立ちからは知性というものが全く感じられない。恐らく頭の悪い男なのだろう。

「あら、主催者の方なの?よかったらあなたもどうかしら?セパタクロー

男は黙っている。

「見たところあなた体格もいいし、見どころがありそうじゃない」

「そうなのか…?」

まんざらでもないらしい。

「ええ、私の目に狂いがなければ、セパタクローをやればそれなりの選手になれるはずよ、興味があるなら指導してあげるわ」

「い、いいのか…?」

「いいわよ、ついてらっしゃい」

「ああ…」

虚を突かれた男は戸惑いながらも女と僕の後をついてきた。やはり見立て通り頭の悪い男のようだ。

そしてその後、紆余曲折あって僕らはいきものがかりコピーバンドを組んだ。

どんなことされると興奮する?

──こういう撮影は初めて?

はい

──緊張してる?

はい…すごく

──どんなことされると興奮する?

居酒屋とかで注文してない商品が来て、それを店員さんに伝えたら"こちらのミスなんでサービスします"みたいに言われたとき、すごい興奮します

──それは興奮するね。ちなみにそういう時は何て言うの?

"これ、頼んでないですけど……"って言います。恥ずかしそうに伝えるとなお良いです

──可愛いね。というか、「なお良い」ってことはもはや最初からもらう気なんだね

はい…あわよくば

──そっか、もらう気満々なんだね。じゃあ、もらえたあとはどうするの?

"ありがとうございます"って言ったあと"トイレはどこですか?"って聞いて、トイレに行きます

──トイレ?

はい。で、もらった料理をトイレまで持って行きます

──もらった料理を?

はい。そしてそれを全部トイレに流します

──なんでそんなことするの?

だって、頼んでもない料理を食べるなんて気持ち悪いじゃないですか

──でも、さっきまであんなにもらう気満々だったのに…?

はい。だって、もらうのは興奮するし、気持ちがいいので

──気持ちがいいの…?

はい。もらうのは気持ちがいいです。そして、本来私の体の中で消化されてからトイレに流れるはずだった食べ物たちが、直接便器にぶちまけられて流されていくのを見るのはなんとも言えない快感があります

──そうなんだ…

はい。じゃあ、そろそろセックスします?

──え?

するんですよね?セックス

──あー…いやあ…なんか、君の話聞いてたら怖くなってきてそういう気分じゃなくなっちゃったから、今日は一旦撮影ストップで…

そうですか

──はい、すみません…あの、これ、一応今日の分の撮影料です…

ありがとうございます。 あ、ちなみにこのスタジオ、トイレってどこですか?

 

女 「ちょっと何なんですか!?警察呼びますよ!」 無敵の変態 「もう呼んでますよ」

「ちょっと何なんですか!?警察呼びますよ!」

女がそう叫ぶと変態は言った。

「もう呼んでますよ」

するといつの間にか変態の後ろには警察官が立っていた。そして、その警察官が手錠を取り出し変態の手にかけようとした時だった。

「なっ……!?」

女性は警察官の腕をつかみそのまま腕を引きちぎったのだ。

「うわぁああああ!!」

警察官の悲鳴に驚いた変態は腰を抜かしてしまった。

「あなたも死になさい」

そう言って変態の方へ近づく女性。だが、次の瞬間、変態の目の前で何かがぶつかり合った音がした。それはまるで金属と金属がぶつかったような音だ。

「あら?また新手?」

そこには1人の男性がいた。見た目からして年齢は50代くらいだろうか。髪色は黒で長さは肩にかかる程度の長さである。身長は140センチほどで細身の中年男性であった。

「あなたも邪魔する気なら容赦しないわよ」

そう言って女性が近づいてくるのと同時に、男性の体が赤く光り出した。変態はその光景を見てすぐにわかった。彼もまた変態なのだと。それもただの変態ではない。おそらく上級変態だ。

「そこの警察官を連れて早く逃げてください」

上級変態が変態に向かって言う。

「しかし……」

「いいから早く!」

そう言われて変態は警察官に肩を貸しながら逃げるようにその場を離れた。逃げながら変態は、自ら警察官を呼んだ程度で自身を”無敵の変態だ”などと思っていたことを恥じた。そして彼は思った。あの人のような真の変態になりたいと。気がつくと変態は、全裸の上に羽織ったトレンチコートのボタンを首元までしっかりと閉めていた。裸にトレンチコートといういかにも典型的な変態といった感じの服装が急に恥ずかしくなったのだ。

そうして変態はRight-onに行った。彼の知っている服屋といえば、高校生の時に母親に連れてきてもらったRight-onくらいしかなかったのだ。Right-onで彼は英語がたくさん書かれたTシャツとリバーシブルのパーカー、裾の折り返しにチェックの柄のついたベージュのチノパンを購入した。そして彼は急いで着替えると、先ほどの公園に戻った。しかしそこには上級変態の男性の姿はなかった。

「あの人は一体誰だったんだろう……」

変態は疑問を抱きつつも、先ほど買った服を着たまま家に帰った。その姿を見た母親は言った。

「あんたそれどこで売ってたの?全然知らないブランドだけど」

「いや、これは知り合いにもらったんだよ。ほら、この前友達と一緒にカラオケ行った時にさ」

嘘をつく変態。本当は自分で買ったものなのに……。

「あーはいはい。そういうことね」

母親は納得してくれたようだ。こうして、変態は新たな一歩を踏み出すことができたのだった。

 

教師「じゃあお前は田中が死ねと言ったら死ぬのか?」 田中に絶対服従している生徒「田中様がそうおっしゃるなら」

教師「じゃあ、お前は田中の命令だったらなんでも聞くんだな?」

生徒「はい。どんなことでも従います」

教師「それでは命令だ。今すぐ教室から出て行け!」

生徒「いや、あなた田中じゃないですよね?」

教師「そうだよ」

生徒「じゃあ命令しないでくださいよ」

教師「でも今は田中のつもりで話してるんだよ! いいから早く出てけって言ってるんだよ!!」

教師「わかりました。では、失礼します」

担任「………ふう、やっぱりこうやって面と向かって言うのはきついぜ………

よしっ!これで田中の言うことを聞く奴はいなくなったぞ!」

クラスメイト全員(そんなわけないじゃん……)

担任「よし、じゃあ授業始めるかー」

 

 

 

【解説】

主人公は田中ではなく、実は先生でした。つまりこれは、「主人公=田中」という構図を崩すために先生が取った行動です。田中ではない先生が田中のふりをして田中のことを貶めようとするというのはなかなか面白い発想ですね。

また、田中のふりをしたせいで逆に先生自身が自分の首を絞めているというところも見所の一つになっています。

一方、田中に絶対服従する生徒が減ったことで、田中の命令に従わなかったり、あるいは田中の指示を無視して他の友達と話したりする人が増えてきますよね?そうなると当然、田中にとっては面白くないことが起こります。

このように、一見矛盾するような出来事が起こるというのがこの物語の特徴であり、魅力でもあるのです。

そして、そもそも田中とは一体何者なのか、なぜ田中に絶対服従するような生徒が出てくるのか、なぜ田中に服従している生徒を先生は追い出したのか。

そういった疑問に思考を費やし、時間を無駄にしてしまっている私たちこそが、本当の田中なのかもしれませんね。

ちなみに、最後のシーンは作者自身の体験談を参考にしています。

私も昔は田中だったのですが、あるときふと「あれ?これって俺のことじゃない!?」と思ってからはもうダメになりました。

みなさんも田中になったときは気をつけてくださいね。

 

 

 

おわり

 

 

 

 

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