教師「じゃあ、お前は田中の命令だったらなんでも聞くんだな?」
生徒「はい。どんなことでも従います」
教師「それでは命令だ。今すぐ教室から出て行け!」
生徒「いや、あなた田中じゃないですよね?」
教師「そうだよ」
生徒「じゃあ命令しないでくださいよ」
教師「でも今は田中のつもりで話してるんだよ! いいから早く出てけって言ってるんだよ!!」
教師「わかりました。では、失礼します」
担任「………ふう、やっぱりこうやって面と向かって言うのはきついぜ………
よしっ!これで田中の言うことを聞く奴はいなくなったぞ!」
クラスメイト全員(そんなわけないじゃん……)
担任「よし、じゃあ授業始めるかー」
【解説】
主人公は田中ではなく、実は先生でした。つまりこれは、「主人公=田中」という構図を崩すために先生が取った行動です。田中ではない先生が田中のふりをして田中のことを貶めようとするというのはなかなか面白い発想ですね。
また、田中のふりをしたせいで逆に先生自身が自分の首を絞めているというところも見所の一つになっています。
一方、田中に絶対服従する生徒が減ったことで、田中の命令に従わなかったり、あるいは田中の指示を無視して他の友達と話したりする人が増えてきますよね?そうなると当然、田中にとっては面白くないことが起こります。
このように、一見矛盾するような出来事が起こるというのがこの物語の特徴であり、魅力でもあるのです。
そして、そもそも田中とは一体何者なのか、なぜ田中に絶対服従するような生徒が出てくるのか、なぜ田中に服従している生徒を先生は追い出したのか。
そういった疑問に思考を費やし、時間を無駄にしてしまっている私たちこそが、本当の田中なのかもしれませんね。
ちなみに、最後のシーンは作者自身の体験談を参考にしています。
私も昔は田中だったのですが、あるときふと「あれ?これって俺のことじゃない!?」と思ってからはもうダメになりました。
みなさんも田中になったときは気をつけてくださいね。
おわり