にしきのこい

メリケン情緒は涙のカラー

フェラチオを知らない男

「ねえ、口でしてあげよっか?」

「口で?何を?」

「車検」

「車検!?!?!?!?!?」

「車検知らないの?」

「車検は知ってるけど……」

「してほしいでしょ?車検」

「うん……まあ……」

「で、どうする?口でする?しない?」

「……する」

フェラチオを知らない男は、女に口で車検をしてもらうことにした。

「じゃあ……お願い」

「うん」

女は男の車を見に、外へ出た。

そしてそれから、2年の月日が経った。女が戻ってくることはなかった。

男は車を運転する。男の隣には、もう女は座っていなかった。

「お前は今も、どこかで車検をしているのか…?」

男は誰もいない助手席に向かって語りかけた。次第に男の声は泣き声に変わる。

 

 

「俺が………俺が車検してほしいなんて言わなければ…!」

男は声を上げて泣いた。

「彼女は……フェラチオのつもりで言ったんだ……!それなのに俺は……俺は……!」

この2年の間に、男はフェラチオの意味を知ったのだった。男は泣きながらアクセルを踏んだ。車が加速し、スピードがぐんぐん上がる。

「俺のせいで……俺のせいで……!」

女が車検を提案したのは、悪ふざけだったのだろうか?それとも……?

「ごめん……ごめんよ……」

男を乗せた車は、夜の街を走っていく。

「前の車、止まりなさい」

スピード違反で普通に捕まった。

おわり

 

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